本吉|刀剣研磨の現場にお邪魔してきました
2021.11.30
気仙沼市本吉町の三浦さんは今年8月三陸新報で報じられたように、日本美術刀剣保存協会による「現代刀職展」の研磨の部で努力賞8席に入賞されました(昨年は特賞第5席寒山賞受賞)。先日は三浦さんの研磨処にお邪魔して、写真撮影のアドバイスを行いつつ、お話を伺いました。
刀の刃を鉄から鍛える刀鍛冶とは別に、打ちあがった刀を研ぐのが研磨師です。さらに柄や鍔、鞘などの拵え(こしらえ)を担当する刀拵職人と分業で、新しい刀の製造や、既存の刀の修復、メンテナンスを行います。
「まばたきで飛ぶ涙の飛沫がついただけで、曇り、やがて錆になってしまいます」という刀身は、定期的な手入れが必須。とはいえ現代のそれは物を切るための研ぎではなく、美術品として鑑賞するためのものだそうです。
「刀身によって、相性のいい研ぎ石を選びます」と仰る三浦さん。小さな傷を消すためには広く研磨することが必要ですが「できれば刀身はあまり痩せさせたくない」とのことで、非常に繊細な作業をされているようです。「刀身にも寄りますが、刃と切先を分ける【横手】の線がはっきりするような研ぎをすることが多い」というこだわりも紹介していただきました。
4つの書棚に刀剣に関わる書物が並び、別の一角には研ぎ石が収められていました。三浦さんは研ぎだけでなく、刀身の型を取り、波紋を筆で描きあげる「押し形刀絵図」の部門でも優秀賞第2席に選ばれているのですが、筆を使ってフリーハンドで描く作業も、集中力が必要に思えました。
小冊子型のパンフレットを制作中の三浦さん。気仙沼ビズでは、お話をよくお伺いした上で、その静謐な世界を伝えられるような表現についてアドバイスさせていただいています。本吉に、こんな方がいらっしゃるんですね!8月に行った本吉出張相談会から続いてご相談いただいております。