【気仙沼の仕事場探訪】カツオ節製造「マルヤマ」さん編
2024.10.12
来年は気仙沼にカツオ漁が伝来して350年の記念すべき年!ということで、栗山センター長、斉藤事務局長が気仙沼とカツオの関係を学ぶため、唐桑のカツオ節屋さん「マルヤマ」さんにお邪魔してきました。
唐桑半島にはかつては数十のカツオ節屋さんがあったそうですが、現在も製造を続けているのはマルヤマさん1社のみ。しかも、マルヤマさんは全国でも3~4件ほどしか継承していない伝統的な製法でカツオ節を製造しているそうです。
10月の某日。昼過ぎにマルヤマさんを訪れました。
唐桑半島の中でも小高い丘の上に位置するマルヤマさん。工房の前からは唐桑の海や山、街並みが一望できます。
工房をのぞいてみると、午前中に半身におろされて、煮籠に乗せてゆで上げられたカツオがたくさん積まれていました。それを一つ一つ手に取り、あっという間に骨や余分な脂肪などを取り除く職人技の鮮やかなこと。一番のベテランさんは、なんとこの道50年だそうで、その方に手にかかればものの数秒で血合い部分などに残った骨がきれいに取り除かれてしまいました。
骨抜き、洗浄を経てきれいになったカツオは、今度はセイロに並べられ、いよいよ焙乾(ばいかん)の行程へ。
マルヤマさんでは、この焙乾の行程を伝統的な「手火山(てびやま)式」という方法で行っています。
約2メートルの深さの炉の上に、カツオのセイロを何枚も重ねて乾燥させていきます。品質を左右する火加減は、カツオの上に手をかざし、感じる温度で調整します。このことから「手火山式」と言われるのだそうで、熟練の技術が必要です。マルヤマさんでも社長しかできないそう。
昼前からいぶされていたというカツオを見せてもらうと、まだうっすら茶色くなった程度。回数を重ねるごとに、色味が濃くなっていきます。1~数回の焙乾でできるのが、「生利節(なまりぶし)」。市場に出回るのは真空パックなどにされたものですが、この焙乾したてのあたたかい生利節はまた格別だそうです。
培乾だけでなく、天日にあてる「日乾(にっかん)」や、炉の直上の天井部分にある「火天(ひてん)」で数か月いぶすなどの行程を繰り返すと、すっかり乾燥し身の部分はきれいに輝くルビー色に変わります。これが、カツオ節の原料になる「荒節」です。
脂が乗り過ぎず、形がよいものを選別し、磨き、さらにカビ付け、天日干しを繰り返したものは、「枯節(かれぶし)」になります。よく目にする削る前のカツオ節はこの状態で、カビ付けによって余計な水分や脂肪分が吸着され、風味豊かになるそう。カツオの味が強い荒節に対し、枯節からは上品な出汁がとれるそうです。
荒節になるまでも1ヶ月、枯節になるにはさらに数か月を要するということで、日本人にとって身近なカツオ節がどれだけ手間暇をかけて作られているか、その一端を垣間見ることができました。そして、こんな貴重な会社が気仙沼にあることが再発見できたことが、大きな収穫でした。
気仙沼ビズも、来年のカツオ漁伝来350年に併せたイベントのご支援をさせていただく予定。カツオにまつわる事業者の方、そして技術、商品のことも広くPRしていく機会にできるよう、頑張ります!
▼マルヤマさんホームページ
http://www.karakuwa-maruyama.co.jp/
▼今ならマルヤマさんの作業工程が動画でも見られます
https://sp.m.jiji.com/movie/show/10077