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熟成古酒「琥珀の粋」、男山本店さんと歩んだ夏から秋

2021.10.27

男山本店さんがご相談に見えたのは6月半ば。低アルコールの古酒を、新しい企画でユーザーのもとに届けたいということでした。
ご相談前後には、この古酒をすでに販売店さんにご紹介を始めていたそうですが、通常のお酒と違っているために「うちのお客さんには売れないと思う」という反応ばかりだったそうです。

男山本店さんと議論を重ねて「ではむしろ、新しいお客さんを呼び込む機会と捉えてもらえるようにストーリーを作っていこう」という方針を固めていきました。

そして、いろいろ調べるうちに行き当たったのは、「新酒は頭ばかりが酔うが、古酒は体全体が潤うように酔う」という江戸時代に書かれたという文章。



琥珀の粋は、アルコール度抑えめになるよう仕込まれたので深く酔っぱらわない。だからこそ香りや口当たりを長くゆったりと楽しめる日本酒という打ち出し方ができると考え、他のお酒との共通点を探していきました。そして「ミステリーにはウィスキーが合う」というキーワードをヒントとして、「秋の夜長に、読書に合う日本酒」という方向性に至ったのです。

同時に、名前もボトルも発売のタイミングも決まっていなかったお酒に、顔つきとストーリーを加えていきます。コンセプトをベースに、気仙沼ビズからも、男山本店さんからもネーミング案が出ます。(その後、商標をチェックして調整が行われ、名前が決まりました)

さらに、新しい広がりを出していきます。今までの日本酒ファンから大きくターゲットをシフトしていくために、「読書」の部分を膨らませるのです。「ブックカフェでの発表なんていいですね」「でもコロナでリアルイベントは厳しいかな」という議論があったのち、選書という企画が生まれした。

仙台市で週に一度だけ開く「鉄塔酒場」は、古本に囲まれてお酒を飲む場所。そこを引き継がれた川村力さんは、東京で編集者として活躍しつつ、仙台で酒場を経営。この川村さんと男山本店の杜氏さんがつながっていました。 気仙沼を取材してくれたことがあるマガジンハウスCOLOCALの編集長松原亨さんも、快く選書を引き受けてくれました。仙台で活躍するライター岡沼美樹恵さんは、宮城県で活躍するライターさん。



企画はお酒のように発酵し、熟成されていきました。
こうやって他にない特徴をしっかりと打ち出すことで、ニュースになる可能性が大きくなりました。そのことも踏まえ、秋になって販売店さんに再度ご案内。この時には特設ランディングページを無料で作成し、営業ツールとして活用しました。

結果は、蔵出し前に73%の受注獲得。

販売体制ができたのち、満を侍してプレスリリースを発行。新聞社、ラジオ局、通信社、テレビ局の取材につながり、大きな周知効果を上げることができました。

心掛けたのは、すべてを気仙沼ビズがやるのではなく、事業者さんがこれを経験値として、だんだんご自分でできるようになること。ネーミングを一緒に考え、協力者へのオファーの仕方を説明し、ランディングページを共に作り上げる。この経験が、事業者さんの力になることが、私たちの願いです。


販売店リストや選書内容については特設サイトをご覧ください。

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